YMCA Camp “Onyahsa”24’参加レポート
この夏、11年目を迎えました。NY州公認のYMCAサマーキャンプへの参加です。
キャンプの正式名は“Onyahsa”(オニャサ)といい、1898年に開設されたアメリカでも指折りの伝統あるキャンプです。
思えば、この11年間いろいろなことがありました。2020年、英語が小学3年生からの必須科目になり、”Let’s Try!“と日常生活の中に飛び込んできました。ほぼ同時期にコロナ禍でキャンプが約2年間休止になりました。
月日の経つのは早いもので、最初にこのキャンプに参加した子(当時小学生)が今はもう立派な社会人です。
おかげさまで“Onyahsa”では日本人の参加が通例。梅雨時になるといつも「今年は何人?」とキャンプのディレクターDr. Jon O‘Brianからメールが入ってきます。
さて、この夏ですが、ご存じ“円安”に、航空運賃の高騰などが重なって「こりゃ溜らん」という料金設定!そのせいか例年より少ない参加人数になりました。小学生高学年が2名、高校生が1名です。
現地に入ると、日本からNYのHigh Schoolに留学していた女子高校生ふたりが出迎えてくれました。彼女たちは約1年間の米国留学を終え、元の日本の高校へ戻るところでした。ちょうど夏休みのタイミングでしたので、留学先の高校の学年末試験終了後キャンプで約1か月半仕事をさせてもらった後、子供たちと一緒に日本へ帰ろうというプランを立てたのです。
私はキャンプのボスJonに、ふたりをキャンプのボランティア・スタッフに採用してください・・・と掛け合いました。部屋(ベッド)と食事付き勤務、ただし、ボランティアで給料ナシの条件です。2人ともそれぞれ過去に数回キャンプに参加していたこともあり、Jonはふたつ返事でOKを出してくれました。
実は彼女たちがキャンプに参加していた時の様子をJonは鮮明に覚えていてくれました。だから「彼女たちなら大歓迎だよ」と言ってくれたのです。
数年前のキャンプの参加者が、今年はキャンプのスタッフ(お世話役)です。ふたりのキャンプ参加や米国留学のお世話役を務めてきた私は彼女たちの成長を感じて、よい気分になりました。
約1年ぶりの再会は?!!・・・もちろん、ふたりとはメールのやり取りを頻繁に行っていました。少し重たい話をするときはZoomを使用して、保護者の皆様(特に母親)とも連絡を取り合いました。在学中の日本の高校の先生や留学中のHigh Schoolの担当者とも長文のメールをやり取りして、ふたりが健康で実りあるキャンパス・ライフを送れるよう細心の注意を払っていました。ですから「お久しぶり」の気分ではなかったのです。
しかし、実際に会ってみると、私は思わず「Wow!!!」と叫びそうになりました。そこに現れたのは、ファッションも立ち振る舞いもまさに“今どきのアメリカの女の子!”でした。
その良し悪しは別として、あふれる笑顔とキラキラ輝く瞳をみて、「留学は成功した」と確信しました。
現地のスタッフと汗を流し子どもたちの世話をする姿。時にはマイクを手に全員に指令したり案内をしたりする姿。私は留学の最初の1か月目ぐらいに「授業についていけない。何を言っているのかわからない」と泣きベソ電話がかかって来たことを思い出し、涙が出そうになりました。
ちなみに、ふたりがHigh Schoolで取得した単位(英語はもちろん化学、数学、美術など)はすべて日本の高校で活かせます。だから留年せずに次のスッテップ進めます。
「先生、次のステップって、大学受験ですよ」とやや不安気に言うふたりに、「行きたい大学に入れなかったら浪人すればいいのよ。今はいろいろな選択肢があるのだから気にしないで」と軽く言ってのけます。
私には、この1年間に彼女たちが実体験して身につけたモノの価値がよくわかります。
だから、「1浪ぐらい気にするな」と本気で思っています。たぶんストレート大学合格でしょうが・・・
さて、3週間のキャンプレポートに戻ります。
小学3年から英語・・・以来、一番変わったのは保護者のキャンプに対する意識です。
教育熱心な父母はすでに「受験戦争」の渦中の人。成績、成績・・・キャンプに行けば英語の成績が上がるのか?と直線的です。
しかし、祖父母は少し違うようです。可愛い盛りの孫に質問。「夏休みはどうするんだい?」。孫の答え「塾があるからどこにも行けない」。
「おいおいこれで大丈夫かい」と眉をしかめるおじいちゃん、おばあちゃんが多いそうです。
私はいわゆる「受験英語」は生活の役に立たない、と思っています。
しょせん英語はコミュニケーションの道具にすぎません。遊びながら楽しく学ぶ、時には戦いながら必死に学ぶ。これが正解です。
「英語おもしろい」。「外国人と話すの、楽しい」となれば目的達成です。このスタート地点にキャンプは最適だと信じます。
「おい、アイツはひとりっ子で、人見知りが激しい。肝試しにアメリカのキャンプはどうだ」と、おじいちゃん。「そうね、親離れ、子離れのチャンスかも」と、おばあちゃん。
こんな会話がきっかけで決まったキャンプ参加は“最高”です。
今回の参加者の中では、小学校高学年の女の子が、この雰囲気に近いかな。
彼女は英語が好き、得意科目。英会話教室にも通っていて、簡単な日常会話なら大丈夫と自信をもっていました。
ところがキャンプ初日から大後悔。ネイティブ英語のスピードについていけない。音が聞き取れない。アクティビティに参加してもルールがわからない。どうにもならない。だめだ~と、絶望。
しかし、3日4日が過ぎたころ、周囲が少し見えはじめたようです。そして、英語を話すことの「恥ずかしさ」や「間違いを恐れる気持」が消え、必死にコミュニケーションをとる様子がうかがえるようになりました。
私たちはこの状態を「サバイバル英語を使いはじめた」と言っています。教室でこの「ゾーン」に入ることは至難です。
キャンプから帰った彼女は今まで違ったカタチで英語に向き合い、これからの人生づくりに役立てていく、と期待しています。
もちろん現在の彼女にそんな面倒くさいことを言うつもりありません。「英語大好き」の芽にせっせと水をやり肥料をやり、育て上げたいと思っています。
高校生は、小学生と違って、キャンプ参加にもう少し具体的な目的をもっていたようです。彼らは将来留学をしたいという夢をもっていて、たぶん父母とも話し合っていたのだと思います。しかし、それをいつにするか迷っていたのです。
心配の種は、現在の英語力で、授業についていくことができるか? 友だちをたくさん作り、キャンパス・ライフを楽しく過ごせるか?キャンプ参加はその検証だったようです。
彼の結論は、共に「時期尚早」。特にキャンプの最初の1週間はそう感じたそうです。しかし、日がたつにつれ、自分の英語の弱点がどこにあるかがよくわかるようになり、アメリカでの生活が楽しくなったので、留学の夢はますます強くなったといいます。
そして何より、1年間の留学をやり遂げ、お墨付きの成績表をもって帰国するふたりの先輩に「大丈夫、できるよ、何とかなるよ」と背中を押されたのも自信になったようです。
私は11年目を終えたこの夏のキャンプをレポートしながら、このキャンプは今日本の子どもたちに不足しているものを与えてくれる、と改めて思いました。
- 自立心の向上:親元をはなれ、日本語の通じないところで3週間、何でも自分でやる。
- 集団生活:言葉の違う年長者、年少者と共同生活、共同作業。兄弟姉妹が少なく、
場合によってはひとりっ子の多い日本の子どもにとって異次元な体験。
- 英語コミュニケーション:言わずもがな。
- 自然とのふれあい:森林、湖、清流などに囲まれた環境。釣り、植物観察、散歩。
カヌー・・・
- 異文化を学ぶ:アメリカ中もしくは他の国々から様々な異文化の人々が参加交流。
- 日本人の誇り:日本、日本人に関する関心が高い。日本の自然、文化、食べ物に関して質問される。日本に行ってみたいという人が多い。
この3週間のキャンプは子どもたちの将来にすばらしい影響を与えてくれる“宝物”だと思っています。
お子さまにチャレンジさせてみたいという保護者の皆さまからの連絡をお待ちします。
問い合わせ先:
080-4361-3810
小室千雪まで
毎年3月末~4月初めに現地のディレクターをお迎えして“Camp Onyahsa”のオンライン説明会を開催しています。 ご興味のある方はご一報ください。説明会のご案内をさせていただきます。