「ELFえいごの寺子屋」では、「英語の勉強」というコトバはできるだけ使わないようにしています。特に小学生低学年の子どもたちには・・・
なぜでしょうか?
「勉強」というコトバを使った瞬間にアレルギー反応を起こす子がいるから
です。勉強ができる子だけが取り組み、勉強が苦手な子は取り残されてしまう雰囲気になるからです。コトバのもつ不思議なパワーですネ。
わたしの個人的意見としては、小学低学年までの英語学習にはアクティビティという表現がぴったりだと思っています。これは毎夏参加しているNYのサマーキャンプのプログラムによく使われています。
サッカーやバレーボールのようなスポーツ、歌やお芝居やダンスやキャンプファイヤーなどイベント、絵をかいたり、クラフトに取り組んだりするアートワーク、釣りやヨット・カヌーなど自然体験、綱渡りや壁登りなどアスレチックなど盛り沢山なアクティビティは日替わりのプログラムに組まれています。すでに経験のあるもの、初めて挑戦するもの、得意なもの,不得意なもの、声を出すもの、汗をかくもの、個人でやるもの、チームでやるもの、・・・様々。どのアクティビティにも、「楽しく行う」という必須条件がつきます。
ELFのレッスンにはこの精神を受け継ぎたいと思っています。
さて、狭く長い脇道を通って、本題に入ります。
いまわが国は未曽有の危機に陥っているといわれています。経済的には過去30年間GDPがほとんど成長していないG7で唯一の国です。1996年比でアメリカが約4倍、中国に至っては約20倍!に成長しているのに、日本は?ああイヤだ。
わが寺子屋の子どもたちのご両親の多くは、まさにこの時代を生きてきたのです。子どもの将来を考える時、わが子がどのようにサバイバルしていくか気になって気になって仕方がないでしょう。
わが子が成長して社会で大きく羽ばたいていくには、どのような能力が大切なのでしょうか?
わたしは以下のふたつのポイントを挙げたいと思います。
- 自分の好きなこと、興味のあることを見つけ、それを深めていく能力
- 自分で考え、自分の意見をもち、それを発信する能力
ポイント①に関しては、年齢と共に目まぐるしく変化するのが普通です。
ただ常に好きなものを見つけ、それに夢中になり、執着していく性格かどうかが問題です。ところでわたしはレッスンの合間に、しばしば子どもたちに質問します。
「あなたの好きなものは?」「夢中になっているものは?」
子供たちが嬉しそうに即答した場合、たとえ成績ダメダメや学校で問題を抱える子どもであっても、なぜか「ほっ」とします。
人は「好きなことなら頑張れる」からです。何か一つのことに集中し継続できれば、人生勝ち組になれると思っています。
ポイント②に関しては、社会に出てからガゼン威力を発揮する能力です。ただ、一般論でいえば、日本人全体がこのポイントが弱い。
成績優秀の「安心よい子」が、以外にこのパワーを身につけていないことに気づき、驚きます。ということで、「ELFえいごの寺子屋」に戻って、話を続けます。
XX年前、この寺子屋を立ち上げた時、「受験塾にはしない」と誓いました。そして「英語ギライをつくらない」ことを目標にしました。
世界共通語の雰囲気を出すために「英語」ではなく「えいご」とひらがな表記にし、「読み書きそろばん、いま、えいご」という寺子屋に似合うキャッチフレーズをかかげました。
つまり、先に挙げたふたつのポイントを身につける最高の道具は「えいご」であると信じ、取組んでいるということです。
小学生中学年までの子どもたち向けレッスンは、とにかく楽しいが眼目。「えいご」ができれば、面白いよ、役にたつよ・・・が実感できる時間になるよう工夫をこらします。
時には、インターンシップ制度を利用して来日中の米国大学生がレッスンに参加してくれて、ネイティブのおしゃべりを聞かせたり、ゲームを一緒にしたりします。
また、インドやデンマークの知り合いにも異文化のプレゼンテーションをしてもらいます。もちろん、英語で。
例えばインドの場合。ホワイトボードに世界地図をひろげ、インドの人口は約14億6,000万人、中国を抜いて世界一位(2025年IMF予測値)になりましたと前置き。次に、インドの公用語はヒンディー語と英語です、と続けます。
でも、知っていますか?
憲法に指定された言語だけでも22もあるのですよ。
ここで質問。インドの国全体では言語がいくつぐらいあるでしょうか?これに正解できる人はほとんどいません。
答えは、ある説によると870(方言を入れると1683)だそうです。ビックリ!!!
みんなムンバイ(Mumbai)って街、知っている?ここはインド一の大都市、インド中から人が集まってくるところで、普段自分たちが使っているコトバではコミュニケーションできないのです。インド人同士で話が通じない、ホント。
そこでみんな英語で話をする・・・まあ、こんなストーリを語ってもらいます。
年齢や、子供たちのえいご力によって反応はまちまちですが、ほぼ全員が興味津々。
「英語」を身につけるのは、テストでよい点を取るためではないということを理解してくれます。ほんの少しだけ海の向こうの国々に目を向けてくれるだけでいいのです。
こうして数年後、子どもたちが中学、高校生になると、レッスンにポイント②の能力育成プログラムを加えます。世界を舞台に活躍できる人材。それはつまり、様々な文化・習慣をもつ様々な言語を使う人々と、「えいご」という共通語でコミュニケーションし、仕事をするということです。
わたしはアメリカの大学を卒業後、外国企業に勤めました。
上司はほぼ外国人。渡された課題に、方策を提案し、結果を出すという日常でした。誰も具体的にどうしたらいいかなど教えてくれません。結果がすべて。まさにサバイバル。
この経験で得た結論は、「えいご」的思考をする英語脳には、ポイント②の能力が絶対必要だということ。レッスンでのトレーニングとして、テーマを渡すことからはじまります。
次に、そのテーマに対し自分の考えをまとめ、それを英語でどう表現するか推考します。まずはインプットの練習に集中します。
次にアウトプットの練習。自分の考えをほかの人に共有する練習です。「相手の目をしっかり見て」「大きな声で」「YES、NOをはっきり」「表情、身振り、手ぶりを使って全身で」など「えいごコミュニケーションのイロハ」からスタ-トです。自分の持っているものをすべて使って相手とコミュニケーションをとる練習です。
このレッスンは、留学を志す人はもちろん、自分の足で自分のキャリアをステップアップしたい人の「最初の一歩」となります。
小学生でもこの練習は生かされています。知っている単語を使ってジェスチャーを交えて、時には日本語も交えながら自分の意思を伝える練習。意外と小学生の方が面白がってチャレンジしてくれています。」
先日、今年のNYのSummer Campに参加した男の子の保護者からのフィードバックを伺う機会がありました。そこでの笑い話。
「息子が寝言で、I Know, I Know・・・って答えたのですよ。びっくり大笑い」。私も爆笑!彼がサバイバルえいごを駆使して走りまわっていた姿を思い出し・・・」
(ウーム泣きそう)